サン&リブのつくりかた2 飯森範親×奥野僚右×中井川茂敏x中山ダイスケx稲村和之

●ストーリー2 戦いの中に見えてくるもの
奥野僚右 × 中井川茂敏 × 稲村和之

奥野

今日、この鼎談に参加させていただいて僕が幸せなのは、サン&リブの飲み物がいっぱい飲めるということなんです。クラブハウスでは一日一本と決まっているので…。

稲村

そうなんですか。

奥野

『山形代表』は全ての種類を飲んでいますけど、一番飲んでいるのはトマト。週に3回は飲んでいますね。トレーニング後に飲むので、濃厚過ぎるともったいないじゃないですか。味わって飲みたいので。トマトだとグッと一気飲みした時にいいんですよ。

稲村

塩が入っていないですから。

奥野

これ飲むと、他のメーカーのは飲めないです。

中井川

かき[注10]というのも珍しいですよね。若い選手は飲まないんじゃないかと思いましたが、意外と飲むんです。

稲村

これは自慢になっちゃうけど、『山形代表』を作ったうちの会社のスタッフは偉いと思う。本当によくやってくれました。

中井川

スタッフの方によくお会いするんですが、皆さんすごく一生懸命だし勉強していますね。

奥野

YAMAGATA MADE[注11]、と書いてありますもんね。自信がなければ書けません。

稲村

そうなんです。自信作なんです。この『山形代表』にはビタミンCを入れないということで、うちの技術者も初回製造は緊張したと思います。

奥野

日持ちしなくなりますもんね。

稲村

そう。そして空気に触れると変色するので、その加工工程の技術が必要で、そこをクリアしたということがすごいと思う。柿も桃も。『山形代表』は、最初にお客様にだした時に「味が違う」とクレームがきました。みんな作られた味に慣らされてしまって、味覚が変わってしまっているんですね。でもうちは本物の果物100%の味だから。

奥野

ああ、桃も美味しいな。某メーカーより(笑)


奥野僚右
おくの・りょうすけ。モンテディオ山形監督。 1968年京都府生まれ。鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島で選手として活躍し、2002年ザスパ草津に選手権監督として移籍。その後2004年から2011年まで鹿島アントラーズコーチを務め、2012年にモンテディオ山形監督に就任。


注10
かき
『山形代表かき』。庄内柿の控えめで上品な甘さ、柿が含むビタミンCやβカロテン、タンニンなどの栄養素もそのままぎゅっと抽出した自信作。

注11
YAMAGATA MADE
『山形代表』の缶の表面、商品名の下には「YAMAGATA MADE」と表記されている。品質と味に自信があることの表れ。

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プロサッカーの監督と企業のトップである皆さんは、常に戦いの中に身を置き、陣頭指揮にあたるという共通点があります。それぞれの立場で存分に力を発揮し、結果につなげるために必要なものとは何なのでしょうか。

稲村

赤字を続けると会社は終わってしまいます。当社には約100名の社員がいて、一生懸命働き生活をされているので、私は常に業界での戦いの中にあって"結果が全て"という立場にあります。競争に勝ってこそ次のステップにも進めるので、そこで戦略と戦術が必要になります。奥野監督も中井川常務もそれは同じなのではないでしょうか。

中井川

そうですね。我々スポーツ振興21世紀協会は、モンテディオ山形の成績をもって成果をあげると同時に、会社経営もしているので黒字にしていくという任務もあります。そこでは、常にどう行動していくかが大事になります。我々の商品は試合。その価値をどう高めていくかを考えた時に、その担い手である監督や選手、みんなが働きやすい環境をつくる努力が必要です。常に発展させていく意識で臨んでいます。また、地域に愛され必要とされる存在となることをクラブのビジョンとして持っているので、多様な行動を起していくことでそれを実現しようとしています。

奥野

「力を発揮し、結果を出すために必要なこと」…。結果を求められて私は来たわけですけど。

稲村

そうですね。明確です。

奥野

自分の中では、結果というのは成長と比例するものなんですね。選手一人ひとり、スタッフ、自分自身も含めて成長したことが結果につながります。ですので、とりとめて結果を最重要視はしていません。一番自分が成長することが大事であって、個人の成長と、チームの成長、グループの成長が必ず結果につながるし、結果は裏切らないということを直接アナウンスすることもあります。選手たちに話すのは、サッカー選手ですから「体も頭も使えば使うほど良くなる」ということ。使うことの重要性を言っています。

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シーズンを戦っていく上で戦略的に行っていることはありますか?

奥野

内緒にしているんですけど、こういう形になって欲しいというイメージに近づけるために、選手たちの自主的な部分を促しながら、見えないように気づかないうちに仕向けるようにしています。種を蒔いている、というか肥料を与えるというか…手をかけているんです。いろいろな段階で一つずつ階段を上がっていかなければならないので、「自信は増えていくもので減るものではない、トレーニングをして下手になることはない、上手くなるだけだ」ということがわかるようにしています。

稲村

なるほど。

奥野

気持ちの部分が体を司っているので、どうやって意欲を引き出せるかが大事になりますが、そこは個人に求めたいですね。一人ひとりがプロフェッショナルですから。各部門で工夫して向上し責任を持てばモチベーションは自ずと生まれるもので、人から与えられるものではないと思っています。…とは言いつつも、高め合って良くなればそれでいいし、良くなるためにみんなが最善を尽し、スタッフと選手が協力しチームが成り立っているということも伝えています。

中井川

一人ひとりの自立心が育つと楽ですよね。

稲村

奥野監督の人柄が溢れている話ですね。プロ選手というのは自己表現をしたいという欲もあるでしょうし、一筋縄ではいかないと思うんですよ。サラリーマンは組織の中で生きているので、怪我をしても病気をしても一定の保障があります。でも、プロ選手は怪我して一年を棒に振れば契約が切れ、職を失うことになるという、結果にこだわらなければ生きていけない世界でもあります。そういった世界で奥野監督の先ほどの言葉は人間味ありますね。いい選手がいるからいいチームなのではなく、いいチームだからいい選手が集まるんだなぁ。とても魅力的です。

奥野

いや、怪我したら自己責任ですよ(笑)。ただ、選手たちは自分の子ども、そのものですね。ダメだ! と言う必要もないし、叱ることはあっても怒る必要はない。けしかけたりすることはあるけど、突き放す必要はない。あくまで自分の子どもたちと同じような感覚です。

稲村

良い方をお連れしましたね、中井川常務。

中井川

ええ。

奥野

そんなにもち上げてもらわなくても…。例えば、同じ結果だとしても、悪を憎む人と善を愛する人とでは大きな違いがあります。結果に向かった道のりの過程で、どういう自分がはたらきかけをするかによって、喜びが大きく変わってくるんです。それが大きくなるような取り組みを選手に毎日してもらいたいだけです。自分がどれだけ積極的に関わっていけるか。どれだけ必死になって味方を励ましていけたか。ちょっと調子乗らないからと言って、調整しながら1対0で勝ちましたという結果との違いを感じてもらいたい。スタッフも、これだけ関わった! と喜びが大きいと思います。

稲村

サン&リブでは次々と新しい商品を開発し、いろんなお店に置いてもらい、会社の文化を発信しながら皆さんにメッセージを伝えています。ボクシングと同じで、パンチを出さないと負けてしまうから。遊び心をもって様々な働きかけをしています。

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それぞれの形で積極的な姿勢をお持ちですが、中井川常務はご自身の役割をどのように考えていますか?

中井川

モンテディオ山形のGMという立場から言うと、奥野のチーム情報をクラブに正確に伝えること、クラブの状況を監督、以下選手たちに正確に伝えていくということが、大事な役割だと思っています。それがなくなってくると、組織、会社もギクシャクしてきてしまいます。チームと会社は離れているので、そこを近づけていって最大限のパフォーマンスをしてもらうということですね。サポート役が私の仕事かなという気がしています。

稲村

コミュニケーションは大事ですね。ミスや問題が起こった時にコミュニケーションがとれていないとミスした本人はもちろん、組織がダメになることがありますから。チームとしてまとまって戦うために、サポート役は必要不可欠です。そういったつながりがチームをより強くしていくのだと思います。

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J1復帰に向けて長い戦いが始まっていますが、意気込みを聞かせてください。

奥野

モンテディオはJ1にいるべきチームだと思っています。今はそこに戻る作業をしています。そこには自分たちの努力だけではなく、サポーターの気持ちを代表する形で表現して、戻りたいと思っています。

中井川

モンテディオ山形は、サポーターや地域、チーム内の信頼関係がしっかりできあがっているので、結果は出てきます。きっちりと信頼関係を構築しながら目標を目指していきます。